営業の生成AIプロンプト(ChatGPT・Gemini・Claudeへの指示文)は、「役割・材料・出力・禁止」の4要素で書くと、貼った直後から実務で使える出力になります。「初回アポのメールを書いて」のような一行の指示では、AIは足りない材料を自分で作り、存在しない実績や機能を文面に入れます。この記事では、営業戦略(ターゲット条件)・初回アポのメール・商談前の質問設計・反論処理・営業資料の構成・自分の指示文の添削の6本を全文公開し、架空の商材で2026年9月27日に実際に回した出力を載せます。プロンプトはChatGPT・Gemini・Claude(クロード)のどれでも動きます。営業リストの採点や議事録、提案書、失注分析、ロープレのプロンプトは別の記事で全文を公開しているので、後半の所在マップから渡します。

営業AIプロンプトは「役割・材料・出力・禁止」の4要素で書く
上位のプロンプト集の多くは「役割・目的・条件・出力形式」かその変形を型として挙げていて、方向は合っています。自社で使っている指示文に共通する要素を整理すると次の4つになり、新しく書くときはこの順で揃えています。上位の型との違いは「条件」を「材料」と「禁止」の2つに分けている点です。
| 要素 | 何を書くか | 抜くと起きること |
|---|---|---|
| 役割 | AIに誰として答えさせるか(営業戦略担当・営業コーチ・営業責任者) | 視点が定まらず、総論と各論が混ざる |
| 材料 | AIに渡す事実。自社の商材と料金、相手の公開情報、受注と失注の表、商談の文字起こし | AIが足りない事実を作る。実績・数字・機能が捏造される |
| 出力 | 項目名・順番・字数・表か箇条書きか | 毎回形が変わり、前回と比べられない |
| 禁止 | 材料に無い数字を作らない、汎用語を使わない、断定しない、送信しない | 「貴社のDX推進」型の文が混ざる。作った数字が相手に届く |
営業の指示文で一番効くのは材料です。AIの賢さより、自社の料金表と直近の受注・失注の表を貼ったかどうかで出力の質が決まります。次に効くのが禁止で、「材料に無い数字は書かず『要確認』と書く」の1行があるかどうかで、出力を人が確かめる時間が変わります。
一行の指示と4要素の指示のBefore/After(出力の実物)
同じ用途で、指示の書き方だけを変えて回した結果です。どちらも2026年9月27日に、私の作業環境(Claude Code)でClaudeに指示をそのまま渡して実行しました。claude.aiのチャット画面ではありません。同じ指示でも文章は毎回変わるので、読者の環境では表現が異なります。
Before(一行の指示):
運送会社に配車クラウドの初回アポメールを書いて
出力の抜粋(件名と本文の一部。【 】はAIが置いた差し替え欄):
件名:配車担当者の残業を月20時間減らした事例のご紹介|【自社名】
(中略)
・ドライバーの拘束時間・改善基準告示を自動チェック
・急な変更をドライバーへその場で共有
【地域】の運送会社様(車両【30】台規模)では、配車担当者の残業が月【20】時間減り、
点呼前の確認漏れがなくなったとお声をいただいています。
文章としては整っています。問題は、「残業が月20時間減った事例」「改善基準告示の自動チェック」「点呼前の確認漏れがなくなった」が、どれもAIが自分で作った実績と機能だという点です。差し替え欄になっていても、担当者が【20】を消し忘れれば、存在しない実績が相手に届きます。材料を渡していないので、AIは運送業界の一般論から「それらしい機能」と「それらしい数字」を補いました。
After(4要素の指示)で回したのが、次の章のプロンプト2です。出力にある数字(3営業所目・求人10名・車両30〜80台・配車担当1〜2名・20分)はすべて渡した材料の中のもので、AIが足した数字はありません。相手の課題は「〜の会社で多い」と当社の導入先の傾向として書かれ、断定していません。件名3案はすべて相手の直近の動き(3営業所目、求人10名)から作られています。同じ用途でこれだけ変わるので、以下のプロンプトはすべてこの4要素で書いています。
営業AIプロンプト6本の全文と出力例(架空の商材・受注5社と失注5社のデータで)
6本とも、次の架空の設定で回しました。実在の会社や顧客のデータは使っていません。読者が自社で使うときは、【材料】の中身を自社の事実に差し替えてください。
- 自社: 株式会社サンプルロジ(架空)。配車・運行管理クラウド「ハイソウ」(架空)を、月額5万円(車両30台まで、31台目から1台1,500円)・初期費用20万円で提供。導入2週間、営業4名。運賃計算と請求書発行はできない
- 相手: 株式会社サンプル運送(架空)。車両60台。2026年8月に3つ目の営業所を開設し、ドライバー10名を募集中
プロンプト5に【自社の事実】として渡した材料の原文は次のとおりです。プロンプト2〜4にはこの一部を渡しました(内訳は下に書きます)。出力にある機能や数字が材料の中のものかどうかは、これと照らして確かめてください。
- 配車・運行管理クラウド「ハイソウ」。紙の配車表とFAX受注をスマホ撮影で取り込み、翌日の配車をドライバーのスマホに配信し、日報が自動で溜まる
- 月額5万円(車両30台まで、31台目から1台1,500円/月)。初期費用20万円。最低契約6か月
- 導入は2週間。初期設定(車両・ドライバー・荷主の登録)は当社が代行する
- ドライバーの端末は個人のスマホか、レンタル端末(月800円/台)。操作は翌日の配車を見て「確認」を押すことと、到着時に写真を1枚撮ること
- 運賃計算と請求書発行はできない(別システムとの連携は要相談)
- 導入先は車両30〜80台の地場運送が中心。配車担当が1〜2名で、その人が休むと配車が止まっていた会社が多い
- 導入後、配車担当は「紙の配車表を作る」作業がなくなり、ドライバーへの電話確認が減る(減った件数の実測は無い)
プロンプト4には、この箇条書きから1行目の機能説明を除いた版を渡しました。プロンプト2・3には短い版(1行目の機能説明、「月額5万円(車両30台まで)・初期費用20万円・導入2週間」、導入先の傾向、できないこと)を渡していて、31台目以降の単価と最低契約期間は渡していません。この省略がプロンプト3の出力で何を起こしたかは、その節で書きます。
出力はClaudeが返した文章をそのまま載せ、長いものは抜粋にしています。各プロンプトの後に「出力で見るポイント」を書きました。出力を読むときに何を確かめるかが、プロンプトの本文と同じくらい大事だからです。
プロンプト1: 営業戦略(受注5社と失注5社からターゲット条件と攻め方を決める)
「営業戦略」と一言で頼むとAIは市場分析の一般論を返します。ここでは、直近の受注と失注の表を渡し、「受注に共通していて失注に無い特徴」からターゲット条件と訴求の切り口を出させます。営業リストの採点の前に、そもそも誰を狙うかを決める工程です。
あなたはBtoBの営業戦略担当です。下の材料だけを根拠に、当社が次の半年で狙う顧客の条件(ターゲット)と攻め方を決めてください。
【材料1: 自社】
(商材・料金・営業体制・できないこと を5行前後で)
【材料2: 直近の受注5社】
| 社名 | 車両 | 決裁者 | 配車体制 | 接点 | 決め手(商談で出た言葉) |
(1社1行。「決め手」は相手が実際に言った言葉で)
【材料3: 直近の失注5社】
| 社名 | 車両 | 決裁者 | 配車体制 | 接点 | 失注理由(商談で出た言葉) |
(1社1行)
【出力】
1. 受注5社に共通していて、失注5社に無い特徴(3つまで。根拠になった社名を添える)
2. ターゲット条件(車両台数・決裁者・配車体制・接点の4項目で「狙う」「避ける」を1行ずつ)
3. 訴求の切り口3つ(「決め手」の列の言葉を使う。一般論で足さない)
4. 当たる順(狙う条件を満たす会社に、どの接点からどの順で当たるか)
5. 材料からは判断できず、次の商談で確かめるべきこと
【禁止】
- 材料に無い事実(業界の平均値、他社の動向)で埋めない
- 「DX」「効率化」のような、どの会社にも言える言葉を切り口にしない
- 5社ずつのデータなので断定せず、「5社中N社」の形で書く
列名(車両・配車体制)は自社の商材に合わせて変えてください。人材紹介なら「求人数・採用担当の人数」、SaaSなら「従業員数・現行ツール」のような列になります。
渡したのは、受注5社は車両35〜80台で決裁者が社長か専務、失注5社は200台で既存システムあり・8台・課長止まり・月2万円の他社・120台で音信不通、という架空データです。受注と失注の差がはっきり出るように作ったので、実データでは「5社中3社」のように割れるのが普通です。割れたときに出力が断定しないことを確かめるのが、禁止の「5社中N社で書く」の役目です。
出力の抜粋:
## 1. 受注5社に共通し、失注5社に無い特徴
① 商談で「配車が特定の人に依存している」か「外から迫られている」具体的な困りごとが言葉になっている
- 受注5社中5社(A「ベテランが辞める」、C「社長を配車から外したい」、E「配車の人が休むと止まる」=属人リスク3社/B「求人で言いたい」、D「荷主から求められた」=外向けの理由2社)
- 失注5社中0社。出た言葉は「足りている」「困っていない」「上に通らなかった」「他社アプリ」「検討します」で、配車の困りごとが一つも出ていない
② 社長・専務本人と商談している
- 受注5社中5社。失注では5社中2社が非経営層。ただし失注G・I・Jは社長商談で落ちているので、「必要条件だが十分条件ではない」
## 2. ターゲット条件(抜粋)
| 決裁者 | 狙う: 社長・専務本人が初回から同席(受注5社中5社) | 避ける: 部長・課長止まりで社長に会えない案件。課長経由なら社長同席を取れるまで提案を出さない |
## 4. 当たる順
1. 既存顧客A〜Eへの紹介依頼(最初の1〜2か月)。「35〜80台くらいで、配車を1〜2人で回している同業」と条件を口に出して頼む
2. 展示会は社長・専務の名刺に絞る。その場で「配車は何名で回していますか」「その方が休むとどうなりますか」を聞く
## 5. 次の商談で確かめること(抜粋)
- I運輸で負けた「月2万円の他社アプリ」との差: 条件は満たしていたのに落ちた。初期費用20万・最低6か月が比較に入っていたか
- 台数の上限がどこか: 受注の最大は80台、失注の大型は120台。80〜120台のどこで「既存システムで足りている」に変わるかは材料に無い
出力で見るポイントは2つです。「5社中N社」が守られているので、5社のデータで断定した文がありません。もう1つは「必要条件だが十分条件ではない」のように、社長商談でも落ちた失注3社を根拠に、出力自身が仮説の弱さを書いていることです。この5番の「確かめること」が、そのまま次の商談の質問になります。ターゲット条件が決まったら、候補の社名を集めて当たる順に並べる工程はClaudeで営業リストを作る手順に渡します。
プロンプト2: 初回アポのメール(問い合わせフォームにも貼れる長さで)
相手からのメールが無い状態で、こちらから初めて送る文面です。返信メールの下書きはGmail Claude連携の記事で扱っているので、ここは初回接触に絞ります。上のBeforeと同じ用途を、4要素で書いたものです。
あなたは当社の営業担当です。下の材料だけを使って、初回接触のメール(問い合わせフォームにも貼れる長さ)を書いてください。
【材料1: 自社】
(商材の一文・料金・導入期間・導入先の傾向 を3〜4行で)
【材料2: 相手の公開情報】
(社名・規模・直近の動きとその出典・代表の情報・問い合わせ手段・営業目的お断りの記載の有無)
【材料3: 送る目的】
20分のオンライン説明の約束を取ること。売り込みで終わらせない
【出力】
- 件名を3案(各25字以内。社名か直近の動きを入れる)
- 本文(300字以内。段落は3つ: なぜ今連絡したか/当社が何をする会社か/お願い)
- 本文の直後に「送る前の確認」を3行(相手の公開情報の出典、営業目的お断りの有無、宛先)
【禁止】
- 相手の課題を断定しない(「配車が属人化している」と言い切らず、「〜の会社で多い」と当社の導入先の傾向として書く)
- 材料に無い実績・数字・導入社数を書かない
- 「貴社のDX推進」「業務効率化」のような汎用語を使わない
- お願いは1つだけ。「資料もお送りします」など2つ目を足さない
出力(全文):
【件名 3案】
1. サンプル運送様 3営業所目の配車について
2. 営業所開設に伴う配車のご相談/サンプルロジ
3. 求人10名の受け入れと配車表の件(サンプルロジ)
【本文】
株式会社サンプル運送 ご担当者様
貴社サイトで2026年8月の3つ目の営業所開設、求人サイトでドライバー10名の募集を拝見し、ご連絡しました。拠点と人が同時に増えると、その日の配車の届け方も変わると考えたためです。
当社は配車・運行管理クラウド「ハイソウ」を提供する株式会社サンプルロジです。紙の配車表やFAX受注をスマホで撮影して取り込み、翌日の配車をドライバーのスマホに配信します。車両30〜80台、配車担当1〜2名の地場運送での導入が中心です。
新しい営業所の配車をどう回すか伺いながら、ハイソウが合うかを20分のオンライン説明で判断いただけないでしょうか。
株式会社サンプルロジ 営業担当
【送る前の確認】
- 出典: 3営業所目の開設=同社サイトのお知らせ、ドライバー10名の求人=求人サイト。送付前に両方がまだ掲載中か再確認
- 営業目的お断り: 公式サイトのお問い合わせフォームに営業目的の送信を断る記載なし。送信直前にフォームの注意書きを再読
- 宛先: 公式サイトのお問い合わせフォーム。宛名は「ご担当者様」、代表の氏名は公開情報で確認できた場合のみ記載
「送る前の確認」を出力に含めているのは、人が確認する工程をプロンプトの一部にするためです。メールで送るなら特定電子メール法の同意の原則があり、問い合わせフォームは同法の対象外ですが「営業目的の送信はお断り」の表示があれば送りません。この確認をAIの出力に毎回出させると、送る前に見る癖がつきます。署名に名前が無いのは、材料に担当者名を渡していないからで、渡せば入ります。
禁止事項の「お願いは1つ」「断定しない」は、私が初回接触の文面で守っている規律です。「資料も送ります」と2つ目のお願いを足すと相手は返事を後回しにし、「配車が属人化していますよね」と断定した文は、当たっていても外れていても構えられます。
プロンプト3: 商談前のヒアリング質問設計(順番と、答えによる分岐まで)
商談前リサーチの出力(課題仮説と確認事項)はClaudeの営業活用の記事にスキル原文があります。このプロンプトはその次の工程で、確認事項を「どの順で、何のために聞くか」まで落とします。
あなたは営業コーチです。明日の初回商談で使う質問を設計してください。
【材料1: 自社の商材】
(商材の一文・料金・導入先の傾向・できないこと)
【材料2: 相手】
(社名・規模・直近の動き・商談相手の役職と背景・これまでのやり取りで相手が言った言葉)
【材料3: 商談の目的】
初回30分。次回、配車担当を同席させた2回目の約束を取る
【出力】
1. 最初の10分で聞く質問を5つ、聞く順に。各質問に「聞く目的」と「答えによって次に聞くこと(2分岐)」を添える
2. 聞いてはいけない順番(何を先に聞くと相手が構えるか)を2つ
3. 決裁と予算の確かめ方(「ご決裁はどなたですか」以外の聞き方で1つ)
4. 30分の最後に、2回目の約束を取る一言
【禁止】
- 質問は全部で10個を超えない
- 専門用語(BANT、SPINなど)を使わない
- 相手の答えを決めつけた質問(「配車が属人化していますよね」)にしない
出力の抜粋:
### Q1「メールで『配車が気になっている』と書いてくださっていましたが、そう思われたきっかけの出来事はありますか?」
- 目的: 相手が自分で書いた言葉から入ることで、売り込みではなく「あなたの話を聞きに来た」を最初の30秒で示す
- 分岐 A: 具体的な出来事が出る →「それは今も続いていますか?月にどのくらい起きますか?」
## 2. 聞いてはいけない順番
1. 価格・予算の話を、現状を聞く前に出さない
2. 「今の配車の問題点」「困っていること」を先に聞かない。配車担当は先代の頃からの人である可能性が高く、代表に「問題点は?」と聞くのは「あなたの社員のやり方はダメですよね」と聞くのと同じで、かばう側に回られる
## 3. 決裁と予算の確かめ方
決裁(過去の決め方で聞く)
「営業所を増やされたときや、今お使いの道具を入れたときは、どういう流れで決まりましたか?最後は代表お一人で決められましたか、それとも会長や配車担当の方にも一度通されますか?」
予算(金額を先に置いて、反応で測る)
「先に費用感だけお伝えすると、初期20万円・月5万円で車両30台まで、60台ですと月10万円です。この規模感だと、代表のご判断で試せる範囲でしょうか、それとも来期の予算に乗せる話になりますか?」
## 4. 30分の最後に、2回目の約束を取る一言
「今日伺った範囲だと、〈Q1で出た出来事〉のところに翌日の配車をスマホに配る仕組みが一番効きそうです。ただ、実際の配車表を見ないと断言はできません。来週、〈Q2で出た配車担当の名前〉さんに30分だけ同席いただいて、今の配車表を1枚見せていただけませんか。私からは、同じ60台規模で3営業所の会社がどう変わったかを持って伺います。〇日か〇日でしたら、どちらがよろしいですか?」
出力で見るポイントは、材料に無いものが2か所混ざったことです。1つは予算の確かめ方の中で「60台ですと月10万円です」と書かれた点で、材料1には「月額5万円(車両30台まで)」しか渡しておらず、31台目以降の単価を渡していません。AIは台数が2倍だから金額も2倍と計算しました(正しい料金表では9万5千円)。もう1つは、2回目の約束を取る一言で「同じ60台規模で3営業所の会社がどう変わったかを持って伺います」と、材料に無い事例の持参を約束した点です。どちらも文章としては自然なので、読み飛ばすとそのまま商談で口にします。直し方は、料金表を省略せず全部渡すことと、禁止に「材料に無い金額を計算しない」「材料に無い事例を約束しない」を足すことです。反対に、質問の順番と「問題点を先に聞かない」理由は、私が商談の文字起こしを見て指摘する内容とほぼ同じで、材料さえあれば質問設計はAIの得意分野です。
プロンプト4: 反論処理の切り返し(自社の事実だけで、論破せず土俵を移す)
反論処理のプロンプトは上位記事にもありますが、多くは「反論と返答例を作って」で終わり、返答例に根拠の無い実績が入ります。ここでは自社の事実を先に渡し、切り返しを「認める→問い返す→当社の土俵」の3段に固定します。
あなたは当社の営業責任者です。下の「自社の事実」だけを根拠に、想定反論への切り返しを作ってください。
【自社の事実】
(上の「自社の事実」の箇条書きをそのまま貼る。実測が無いものは「実測は無い」と書いておく)
【想定反論】
1. 「月5万は高い。他社は月2万のアプリがある」
2. 「今のやり方(紙とFAX)で回っているので困っていない」
3. 「うちのドライバーはスマホを使えない人がいる」
4. 「自分は良いと思うが、上(社長)に通らない」
5. 「請求書まで出ないなら、うちには合わない」
【出力】
各反論について、次の3段で。1反論あたり150字以内
- 認める: 相手の言い分のどこが正しいかを1文で
- 問い返す: 相手の現状を数字か事実で答えてもらう質問を1つ
- 当社の土俵: 自社の事実のどれを使って、何と比べてもらうか
【禁止】
- 自社の事実に無い数字・実績・事例を作らない(「導入企業の9割が」などは書かない)
- 値引き・無料期間を提案しない
- 相手を論破しない。反論を否定する言葉(「それは誤解です」)を使わない
- 反論5に対して、できないことをできると言わない
出力の抜粋(反論1と反論5):
1. 「月5万は高い。他社は月2万のアプリがある」
- 認める: 月額だけ比べれば2万円のほうが安いのは事実です。
- 問い返す: 配車担当の方が休んだ日、配車表は誰が何時間かけて作っていますか。
- 当社の土俵: 初期設定は当社代行・導入2週間。担当1〜2名に配車が張り付く会社が導入先の中心なので、アプリ代でなく「配車が止まる日の人手」と比べてもらう。
5. 「請求書まで出ないなら、うちには合わない」
- 認める: 運賃計算と請求書発行はできません。そこが必須条件ならおっしゃる通りです。
- 問い返す: 請求書はいま何で作っていて、配車と同じ方が担当していますか。
- 当社の土俵: 当社は配車・運行管理に限定。別システム連携は要相談。請求は現行のまま残し、配車表作成と電話確認がなくなる範囲だけで比べてもらう。
出力で見るポイントは、5本すべてで数字が自社の事実の範囲に収まっていることと、反論5で「できません」と言い切っていることです。「自社の事実」に「電話確認が減る(減った件数の実測は無い)」と書いておいたので、出力のどこにも「電話が何割減る」は出ていません。実測が無いことを材料に書くと、AIはその数字を作りません。ただし反論5の「配車表作成と電話確認がなくなる範囲」は、材料の「電話確認が減る」より1段強い言葉になっています。数字は作りませんが、程度の言葉は強まることがあるので、送る前に見る3点(固有名詞・数字・約束)に「程度の言葉」を足しておくと安全です。
想定反論の5つは、失注リストの「失注理由メモ」から取るのが一番正確です。切り返しの型ができたら、営業ロープレAIの記事の顧客役プロンプトの「反論の種類」にこの5つを貼り、声に出して練習する流れにつながります。
プロンプト5: 営業資料(サービス紹介資料)の構成を「相手が聞く順」で組む
提案書は商談の後に議事録から作るもので、提案書のAIプロンプトの記事に全文があります。ここで作るのは商談の前に画面共有するサービス紹介資料の骨子で、自社の営業資料を「固定パート」と「商談ごとに差し替える可変パート」に分けて持っている運用を前提にしています。
あなたは営業資料の構成担当です。当社のサービス紹介資料(初回商談で画面共有する、10枚以内)の構成を作ってください。デザインや文章の清書ではなく、ページの順番と各ページに載せる材料を決めるのが仕事です。
【材料1: 自社の事実】
(上の「自社の事実」の箇条書き全文)
【材料2: 初回商談で必ず聞かれる質問(営業担当から集めた、聞かれる順)】
1. 結局、うちの配車担当の仕事はどう変わるのか
2. ドライバーは何をすればいいのか
3. 今の紙の配車表とFAXはどうなるのか
4. いくらかかるのか
5. 導入に何日かかって、その間の配車はどうするのか
【材料3: 相手】
(見せる相手の役職と、紙・スマホ・パソコンのどれに慣れているか)
【出力】
- 10枚以内の構成を表で: ページ番号|見出し(相手の言葉で一文)|載せる材料(材料1のどの事実か)|このページで相手が抱く質問
- 順番は「相手が聞く順」(材料2)に合わせる。機能一覧から始めない
- 各ページに【固定】(毎回同じ)か【可変】(商談ごとに差し替える)かを付ける
- 材料に無い数字が要るページは、数字を作らず「要確認: 何を計る必要があるか」と書く
【禁止】
- 「導入実績」「お客様の声」のページに、材料に無い社数や引用を入れない
- 1ページに載せる材料は3つまで
- 会社概要を1枚目にしない
出力の抜粋(全8枚のうち見出しと固定/可変。載せる材料と相手が抱く質問の列は省略):
| P | 見出し(相手の言葉で一文) | 固定/可変 |
| 1 | 「配車の人が休むと、うちの配車は止まる」 | 可変(社名・車両台数・配車担当の人数を差し替え) |
| 2 | 「配車担当は、もう紙の配車表を作らなくていいのか」 | 固定/要確認: 電話確認の減少件数は実測が無い。導入前1週間、配車担当がかけた確認電話の件数を数えてもらう |
| 3 | 「うちのドライバーにできるのか」 | 固定 |
| 4 | 「紙とFAXは、やめなくていいのか」 | 固定 |
| 5 | 「請求書は、これまで通りか」 | 固定(できないことを価格の前に言う。あとで出すと「聞いてない」になる) |
| 6 | 「うちの台数だと、月いくらか」 | 可変(例: 45台なら5万+15台×1,500円=72,500円/月) |
| 7 | 「2週間かかる間、配車はどうするのか」 | 可変/要確認: 移行中の配車の扱いと2週間の内訳は材料に無い |
| 8 | 「で、うちは何を決めればいいのか」 | 可変(持ち帰り用の1枚) |
## 材料から外したもの
- 機能一覧: 作らない。P2〜P4で「配車担当・ドライバー・紙とFAX」の主語ごとに機能が出る
- 導入実績・お客様の声: 社数も引用も材料に無いため入れない
出力で見るポイントは3つです。材料2に無かった「できないこと」のページを、AIが価格の前(5枚目)に差し込んだこと。可変ページが4枚に絞られ、差し替える項目が「社名・車両台数・配車担当の人数・希望開始日」の4つだけになったこと。そして、電話確認の減少件数を「要確認」で止め、計り方(導入前1週間、正の字で数える)まで書いたことです。この構成をGoogleスライドの型にしておけば、商談前に差し替えるのは4項目で済みます。
プロンプト6: 自分の一行指示を4要素に直させる(材料の空欄がチェックリストになる)
4要素で書く習慣がつくまでは、AIに自分の指示文を直させるのが早いです。冒頭のBeforeの一行を、このプロンプトに通しました。
私が書いた下の指示文を、AIに営業の仕事を頼むときの型「役割・材料・出力・禁止」の4要素に組み直してください。
- 材料(AIに渡す事実)が足りない場合は、【要記入: 何を貼るか】の形で空欄を作り、なぜそれが要るかを1行で添える
- 出力は、組み直した指示文だけ。前置きは不要
【私の指示文】
運送会社に配車クラウドの初回アポメールを書いて
出力の抜粋(材料の欄は7項目出たうち3つ):
【材料】
- 接点のきっかけ: 【要記入: 紹介・展示会・問い合わせ・Webで拝見 など、なぜこの会社にメールしているか】
→ 初回メールで最も読まれる一文。理由がないと不審に見える
- 提案する配車クラウドの概要: 【要記入: サービス名・何ができるか・導入企業の規模や実績(数字があれば)】
→ 具体的な機能と実績がないと、AIが一般論を書いてしまい差別化できない
- 依頼したい次の一歩: 【要記入: 30分のオンライン説明・訪問・デモ・資料送付のどれか】
→ 出口を1つに絞らないと、相手が返信しにくくなる
【禁止】
- 導入実績や数字を材料にないものを勝手に作らない
- 相手が答えにくい質問(予算・決裁者の有無など)を初回で聞かない
出力で見るポイントは、材料の空欄が「メールを書く前に集めるもの」のチェックリストになっていることです。Beforeの出力で作られた実績は、このプロンプトを先に通していれば「【要記入: 実績(数字があれば)】」の欄で止まっていました。6本の中で最初に使うなら、この1本です。
6本のプロンプトはこの記事に全文を載せています。自社の材料を差し替えるテキスト版と、既存記事のプロンプト一式は配布フォームから無料で受け取れます。
用途別: 営業フロー6段階でどのプロンプトを使うか(全文の所在マップ)
この記事の6本と、別の記事で全文を公開している8本を、営業フローの6段階に並べます。既存の8本は短い版だけ載せ、全文と実演は各記事に渡します。全体のどこに何を当てるかの地図はClaudeの営業活用の記事にまとめています。
| 段階 | 用途 | 短い版(貼って試すならこの一言) | 全文と実演 |
|---|---|---|---|
| 1. リスト作成 | 誰を狙うか(ターゲット条件) | この記事のプロンプト1 | この記事 |
| 1. リスト作成 | 候補を集めて当たる順に並べる | 「添付のリスト各社を公開情報で調べ、課題適合・予算体力・タイミング・接触しやすさ・競合状況の5基準で1〜5点。根拠を1行ずつ、確認できない基準は要確認」 | Claudeで営業リスト作成 |
| 2. 初回接触 | 初回アポのメール | この記事のプロンプト2 | この記事 |
| 2. 初回接触 | 受信箱の仕分けと返信下書き | 「今朝の未読を要対応・後回し・ノイズに表で仕分けて。要対応だけ私の文体で返信を下書き。送信はしない」 | Gmail Claude連携 |
| 3. 商談前 | 企業リサーチと課題仮説 | 「社名を貼る→企業概要・最新トピック・課題仮説・確認事項を1枚に。確認できないことは要確認と書く」 | Claudeの営業活用 |
| 3. 商談前 | 質問設計・営業資料の構成・反論処理 | この記事のプロンプト3・5・4 | この記事 |
| 4. 商談 | 練習相手と採点 | 「手強い決裁者を演じて。返答は2〜3文、弱い切り返しには食い下がる。『フィードバックして』と言ったら100点満点で採点」 | 営業ロープレAI |
| 5. 商談後 | 議事録・CRM用の抽出・お礼メール | 「文字起こしから、議事録(概要・評価・ネック・次アクション・所感)、CRM用の5行、お礼メール3段を作成。不明な項目は未確認と書く」 | 商談議事録をAIで作る |
| 5. 商談後 | HubSpotへの反映 | 「反映する前に、新規作成するもの・更新するものの一覧を出して承認を待つ。削除はしない」 | HubSpot Claude連携 |
| 5. 商談後 | 提案書のたたき台 | 「テンプレの【可変】だけを議事録の事実で埋める。無い数字は要確認。提案は標準メニューから選ぶ」 | 提案書のAIプロンプト |
| 6. 管理・分析 | 失注の分類・真因・打ち手 | 「失注リストを分類と集計→商談回数と決裁者で真因を裏読み→上位2つの打ち手。案件IDを添え、事実と推測を分ける」 | 失注分析のフォーマット |
短い版は出力の型と禁止の行だけを残した圧縮版なので、まず1回貼って出力の形を見てから、全文の記事に進んでください。テレアポの台本と、検討中の相手を後押しするメールは、この記事でも既存記事でも扱っていません(自社で使っていないためです)。
生成AI(ChatGPT・Gemini・Claude)のどれでも使うための前提(違いが出る4点)
この記事のプロンプトは材料を貼る前提で書いてあり、特定のツールの機能に依存しません。私はClaudeで組んでいますが、同じ4要素で書けばChatGPTでもGeminiでも出力の型は揃います。違いが出るのは次の4点です。
- Web検索が要るのはどこか。 6本のうち、AIに調べさせる工程はありません。プロンプト2の「相手の公開情報」は人が集めて貼る形にしています。調べる工程もAIに任せるなら、検索をオンにしたうえで「出典のURLを添える」を出力に足し、送る前に自分でそのURLを開いてください。古いお知らせを「直近の動き」として書くことがあります
- 材料の貼り方。 受注・失注の表はそのまま貼れます(表の記号が崩れても、1社1行になっていれば読み取ります)。商談の文字起こしのような長い材料は、要約せずファイルで添付します
- 保存の仕方。 毎回貼らずに済ませるには、指示文を保存する機能を使います。Claudeはプロジェクト(材料の置き場)とスキル(手順の保存)、ChatGPTはプロジェクトやGPTs、GeminiはGem(指示とファイルを保存した自分用のGemini。Google公式ヘルプで2026年9月27日に確認)です。どれも「役割・出力・禁止」を保存しておき、「材料」だけ毎回貼る使い方が合います。Claudeでのスキル登録の手順は商談議事録の記事にあります
- 学習設定。 実在の顧客名や商談内容を貼る前に、入力が学習に使われない設定になっているかを確認してください。Claudeの個人向けプランは初回登録時に自分で選ぶ方式で、オフにしない限り会話が学習に使われます。何が対象で、どこで切り替えるかは商談議事録の記事の「録画の了承と顧客情報の扱い」にまとめました。ChatGPT・Geminiにも同様の設定があるので、各社のヘルプで確認してから実データを貼ってください
出力は同じプロンプトでも毎回変わります。固定できるのは出力の「型」だけなので、2回回して差を見る、前回の出力と項目を突き合わせる、という使い方が実務では正確です。
営業AIプロンプトでつまずいた5つの失敗と直し方
上位のプロンプト集に書かれていない、自分で書いて回すなかで実際に起きたことです。この記事の出力にも2つ出ています。
1. 役割だけ渡して、材料を渡さない
冒頭のBeforeがこれです。「営業担当として」と役割を書いても、材料が無ければAIは業界の一般論から実績と機能を作ります。直し方は、料金表と導入先の傾向の2つだけでも先に貼ることです。
2. 材料の一部が欠けると、AIが計算で埋める
プロンプト3の出力で「60台なら月10万円」と出た例です。渡した材料が「30台まで5万円」だけだったので、AIは比例計算で埋めました。料金表・契約期間・できないことは、省略せず全部渡します。「材料に無い金額を計算しない」を禁止に足すと、代わりに「要確認」が出ます。
3. 一度に全部頼む
「ターゲットを決めて、メールも書いて、質問も作って」と1回で頼むと、後ろの出力ほど根拠が薄くなります。1用途1プロンプトにし、前の出力(プロンプト1のターゲット条件)を次の材料(プロンプト2の相手の選び方)に貼る順番にします。6本を分けているのはこのためです。
4. 同じチャットで別の相手を続ける
1つのチャットで2社目の初回メールを頼むと、1社目の営業所開設や求人の話が2社目の文面に混ざることがあります。直し方は1社1チャットです。保存した指示文を呼び出して、材料だけ貼り替えます。
5. 出力をそのまま送る・そのまま話す
プロンプト3の「事例を持って伺います」のように、材料に無い約束が自然な文で混ざります。直し方は、出力に「送る前の確認」(プロンプト2)や「材料からは判断できないこと」(プロンプト1)のような、人が確かめる欄を最初から含めておくことです。確認の工程を出力の一部にすると、確認を飛ばしにくくなります。
よくある質問
営業のプロンプトはChatGPTとClaude、どちらで使うべきですか?
この記事の6本はどちらでも動きます。違いが出るのは、Gmail・HubSpot・Notionなど外部ツールと一続きで動かす段階(商談後の処理)で、コネクタで手数が少ないのはClaudeだというのが両方を使っての実感です。社内でChatGPTを使っているなら、まずそちらで6本を試して問題ありません。
無料プランでも使えますか?
使えます。6本とも材料を貼って出力を読むだけなので、ChatGPT・Gemini・Claudeの無料プランで動きます。長い文字起こしを毎日貼る、指示文を保存して毎朝回す、という段階になったら有料プランを検討すれば足ります。
AIが書いたメールや切り返しをそのまま使っていいですか?
送る前に、固有名詞・数字・約束の3点だけは目で確かめてください。この記事の出力でも、材料に無い金額の計算と、材料に無い事例の約束が混ざりました。文章の丁寧さより、この3点の誤りが信頼を落とします。プロンプト2の「送る前の確認」のように、確認の欄を出力に含めておくと飛ばしにくくなります。
プロンプトはどのくらいの長さが適切ですか?
指示の部分は「役割・出力・禁止」で15〜20行に収まります。長くなるのは材料で、こちらは長くて構いません。受注・失注の表や商談の文字起こしを削ると出力が一般論に戻るので、削るなら指示の側ではなく、材料の中の関係ない部分だけにしてください。
顧客の名前や商談の内容を入れて大丈夫ですか?
学習に使われない設定を確認してからにしてください。確認する場所と法人プランの扱いは商談議事録の記事にまとめています。確認前に試すなら、この記事のように架空の社名・数字に置き換えて回すと、プロンプトの動きだけを安全に確かめられます。
6本のどれから自社に当てるかを、60分の無料壁打ちで決める
営業のAIプロンプトは、本数を集めるより「自社の材料が何か」を先に決めるほうが出力が変わります。料金表、直近の受注と失注の表、商談で必ず聞かれる質問の5つ。この3つが手元にあれば、6本のうち4本はその日のうちに自社用になります。私はAIgearで月5枠・60分の無料壁打ちを設けていて、自社の営業フローのどの段階にどのプロンプトから当てるかを一緒に決めています。社内でやれる、という判断になった場合はそう伝えます。