営業の提案書は、AIで「たたき台の作成」まで任せられます。手順は、①商談の議事録(文字起こし)をAI(Claude)にそのまま渡す、②「先方の課題×こちらの提案」の対応表の型で書かせる、③人は提案の絞り込みと価格だけ仕上げる——の3段です。私の場合、ゼロから作ると2〜3時間かかっていた提案書が、たたき台まで10分で出るようになりました。この記事では、実際の商談で使っている作成手順と指示の型を公開します。

営業の提案書作成が重くなる本当の理由
提案書に時間がかかるのは、パワーポイントの作業が遅いからではありません。書き始める前の工程が重いからです。
- 商談メモを読み返して、先方の課題を整理し直す
- どの課題にどのサービスを当てるか、構成を考える
- 過去の提案書を探して、使える部分を切り貼りする
つまり大半は「商談で聞いた内容の再整理」です。ここはAIの得意分野そのものです。逆に、どの提案に絞るか・いくらで出すかは受注を左右する判断なので、人がやるべき仕事として残します。この分担が崩れると「それっぽいが刺さらない提案書」が量産されるだけになります。
AIで提案書を作成する3ステップ
前提として、元ネタになる商談の記録が必要です。商談の文字起こしを自動で残す仕組みは商談の議事録をAIで自動化する手順で解説しています。議事録の自動化ができていると、提案書はその続きとして数分で始められます。
ステップ1: 商談の議事録をそのまま渡す
要約せず、文字起こしや議事録の全文をAIに渡します。人が先に要約すると、先方が話した「生の言葉」が落ちるためです。提案書に先方自身の言葉が入っているかどうかで、読まれ方が大きく変わります。
ステップ2: 「課題×提案」の対応表の型で書かせる
私が使っている指示の型はこれです。
この商談の議事録から、提案書のたたき台を作成してください。
構成は以下の3列の対応表を中心にします。
| テーマ | 御社の課題(先方の発言をそのまま使う) | 弊社がご提供できること |
ルール:
- 課題は先方が実際に話した言葉で書く(勝手に言い換えない)
- 提案は当社の標準メニューから選ぶ(新しいサービスを発明しない)
- 最後に「今後の流れ」を3ステップで
ポイントは2つ。課題の列は先方の言葉をそのまま使わせること(説得力の源泉)、提案の列は自社の標準メニューに限定すること(AIが存在しないサービスを提案するのを防ぐ)。この型はフォーマットとして毎回固定します。
ステップ3: 人は「絞り込み」と「価格」だけやる
たたき台には課題と提案が網羅的に並びます。そのまま出してはいけません。
- 1. 対応表から今回刺す提案を1〜2個に絞る(全部載せは「何でも屋」に見えて逆効果)
- 2. 価格とスコープを決める(ここはAIに任せない)
- 3. 表紙と結びに、商談で感じた温度感に合わせたひと言を足す
ここまでで、私の場合は仕上げ込みで30〜40分です。構成を考える時間がなくなったぶん、絞り込みと価格の検討に頭を使えるようになったのが、時間短縮より大きい効果でした。
提案書の質を落とさない2つのコツ
型(フォーマット)を1つに固定する
毎回自由に作らせると、提案書の品質が担当者やその日の指示でぶれます。「課題×提案の対応表+今後の流れ」のように構成を固定してしまえば、AIの出力は安定し、社内のレビューも速くなります。当社でも提案書のテンプレートを1本に固定し、可変部分(相手の課題・提案の主役・価格)だけ商談ごとに差し替える運用です。
汎用の「AIっぽい提案文」を検知して消す
「貴社のDXを推進し、業務効率化を実現します」のような、どの会社にも言える文章が混ざっていたら削除します。見分け方は簡単で、社名を競合他社に入れ替えても成立する文は全部削る。残った文だけが、その商談から生まれた提案です。
提案書の前後もつながっている
提案書だけを速くしても、商談の前後が手作業のままだと効果は限定的です。商談直後のお礼メールは営業メールの返信をAIで下書きする方法の仕組みでその日のうちに送り、提案書は翌朝たたき台から仕上げる、という流れにすると、先方の熱が冷める前に提案まで届きます。営業の実務全体でどこをAIに任せるかは、AIgearの無料壁打ちでもよく相談いただくテーマです。
よくある質問
パワーポイントのスライドまで作れますか?
構成と文章のたたき台まではAIが得意です。スライド化も自動化はできますが、まずは「Wordや1枚のドキュメントで内容を固めてからスライドに流し込む」順番をおすすめします。内容が固まっていれば、スライド化は型の流用で数分です。
議事録がない商談でも使えますか?
使えます。手書きメモや箇条書きでも、渡せばたたき台は出ます。ただし先方の言葉がそのまま残っている文字起こしのほうが、課題の列の説得力が明らかに上がります。これから仕組み化するなら文字起こしから整えるのが近道です。
顧客情報をAIに入れて問題ないですか?
利用するAIの学習設定(入力データを学習に使わない設定)の確認と、自社のデータ取扱い規程への適合が前提です。法人利用ではその設定が標準のプランを選び、社名を伏せて試すところから始める方法もあります。
この指示の型をそのまま使いたい方へ
この記事で紹介した提案書たたき台の指示文(プロンプト)は、配布フォームから無料で受け取れます。自社メニューに合わせた提案書テンプレートの固定まで相談したい方は、無料壁打ち(月5枠・60分)をご利用ください。売り込みはしません。